学生目線での産学連携
企業と向き合い、研究の社会的意義を実感
展示会で企業関係者と対話した印象について尋ねると、大歳さんは次のように語ってくれました。
「最初は緊張しましたが、学生であることに関係なく、非常に専門的で踏み込んだ質問をいただきました。一研究者として対応いただけたことが印象的でした。」
田中さんも、「自分たちが卒業研究の中で得られた実験結果が企業の課題解決につながる可能性を感じました。卒業研究ではシリコン太陽電池を対象として取り組んでいますが、企業の方との議論を通じて、他の固体材料にも応用できると気づき、研究の出口が広がりました。」と振り返ります。
草場研究室では、材料表面にレーザーを使ってナノドット構造を形成させることで無反射性や撥水性などの新しい機能を付与する研究を行っています。学会発表や展示会は、学生がその成果を社会に向けて発信する貴重な機会となっています。
学生が感じた産学連携の価値
産学連携に関わるメリットについて、大歳さんは次のように話します。
「社会が何を求めているのかを知ることができました。自分たちが“誰もやっていない研究”に取り組んでいるという実感が、卒業研究へのモチベーションにつながりました。」
田中さんは、「企業は理論だけでなく実用化を重視しています。企業視点を知ったことで、研究を社会実装まで見据えて考えるようになりました。」と述べ、大学院進学後も学術的な面と実用的な面の接点を意識して研究を深めたいと語ってくれました。
伝える難しさと成長
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一方で、課題もあったといいます。
田中さんは、「専門用語を使わず説明する難しさを痛感しました。日本語でわかりやすく伝えることは想像以上に難しかったです。」と率直に語ってくれました。
大歳さんは、「専門用語の背景まで理解していれば、自信を持って説明できることを学びました。知識の“点と点を線にする”作業が大切だと感じました。ただ、コスト面など企業特有の視点には十分に答えられず、課題を感じました。」と振り返りました。
両名とも、指導教員からの丁寧なフィードバックや説明の仕方の指導が大きな支えになったといいます。学会発表や産学連携の場への参加を教育の一環と捉える草場教授の方針が、学生の主体的な挑戦を後押しして、成長を促しています。 
進路への影響
産学連携の経験は進路選択にも影響を与えています。
田中さんは、「学術的研究を深めつつも、社会実装を意識した研究者でありたい。」と語ります。
一方、大歳さんは、「学生でも価値を出せると実感できました。就職後は企業の立場から大学の研究成果をどのように製品へ活かせるかを考えていきたい。」と抱負を述べてくれました。
学生が考える“良い産学連携”とは
最後に、学生目線での産学連携について尋ねました。
田中さんは「外の場に出ることで自分の立ち位置を再確認できることが大切です。もっと企業と接する機会が増えれば、多様な視点を持てるようになると思います。」と話します。
大歳さんは、「私たち学生が受け身にならないことが重要です。挑戦の機会はあるので、失敗を恐れず主体的に関わってほしい」と後輩へエールを送りました。