現在、世界の主要国では、武器や軍事転用可能な技術や貨物が、安全保障上懸念のある国やテロリスト等に流出して核兵器等の大量破壊兵器や通常兵器に転用されることを防止するため、国際的な枠組みを構築しており、我が国では、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」とその関連法令により安全保障輸出管理規制が行われています。
大学においては、武器、兵器につながるおそれのある研究機器、試料、技術資料等を会議に持ち出して提供する場合はもちろん、国内においても海外の政府や企業が関係する受託研究や共同研究、海外からの研究員や留学生への提供(指導)が、法令で規制対象となる内容ではないかどうか確認する必要があります。
また、研究過程における海外研究者とのデータや資料の交換等が、外為法に基づく安全保障貿易管理上の規制対象となり、経済産業省への許可申請が必要となることがありますので、注意が必要です。
外為法等で定める規制には、2種類(リスト規制及びキャッチオール規制)があります。規制対象に該当する物の輸出や技術の提供を行う場合には、事前に経済産業大臣の許可が必要となります。
武器および兵器の開発等に用いられるおそれの高い貨物?技術について、貨物及び技術の種類?仕様(スペック)が具体的に定められた規制品目リストに基づき規制されます。
リスト規制以外の「技術」や「貨物」であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器等もしくは通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある場合に規制されます。貨物や施術の「用途」や「需要者の確認(誰に)」の確認が必要です。
外国ユーザーリストとは、キャッチオール規制の実効性を向上させるため、輸出者に対し、大量破壊兵器等の開発等の懸念が払拭されない外国所在団体の情報を参照用として提供するものです(禁輸リストではありません。)。輸出者は、輸出する貨物等のユーザーが本リストに掲載されている場合には、当該貨物が大量破壊兵器等の開発等に用いられないことが明らかな場合を除き、輸出許可申請が必要となります。
参照)
※都度更新されますので、最新の情報を確認してください
大学においては、以下の例のような研究活動における国際交流や外国人研究者?留学生への技術提供などが規制の対象となる可能性があります。 このような研究活動を行う場合や、海外にいく場合は、本学の定める「事前確認シート」を作成し、取引審査の手続きの要否について、管理責任者の了承を得なければなりません。
大学の研究機関でよく見られる外国への技術提供や輸出の機会の例 | |
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主な機会 | 主な具体例 |
留学生?外国の研究者への研究指導や研究交流 | 実験装置の貸与、試作 技術情報を電子メールやUSBメモリ、電話、FAXで提供 授業、会議、打合せ 研究指導、技術指導 |
外国の大学や企業との共同研究 | 実験装置の貸与、試作 技術情報を電子メールやUSBメモリ、電話、FAXで提供 会議、打合せ |
学術研究を目的とした研究資料などの外国への送付?持ち出し | 研究資料、サンプル等の送付、持ち出し 自作の研究資材機を携行 |
外国からの施設見学 | 研究施設の見学、研究内容の説明 工程説明、説明資料配布、実験機器の説明 |
外国の研究者などが参加する非公開の講演会?展示会 | 技術情報の口頭発表 技術情報のパネル展示 |